今日の欧米のノンアルコールムーブメントの火付け役のノンアルコールのバイブル"Sober Curious"。
今回は、"Sober Curious"がいかなるもので、どのような広がりを見せており、日本でどのような可能性を秘めているのかを見ていきたい。
Sober Curiousとは?
"Sober Curious" とは、イギリスの作家Ruby Warringtonによって書かれた、知らず知らずのうちに飲酒文化が社会の中で支配的になってきていることに対して、一石を投じた書籍である。
アルコールへの依存はわかりやすい白黒の世界ではなく、長いグレーゾーンが存在する。
今、症状として出ていなくても、数ヶ月後、数年後はわからない。
そんな時に、節酒は自身とお酒の距離間を見つめなおす良い機会になるという。
Warringtonは「飲酒量を減らすことが、健康革命の次なる一手である」と主張する。
「ヨガや緑に囲まれた一日が、バーに行き肝臓に鞭打って終わるなんて、なんともナンセンスだ」とも。
これまではアルコール依存症やお酒による失敗などの結果としてSobriety(素面/節酒)が選択されていたのに対して、Sober Curiousの新しさは特に問題のある人ではなく、お酒を飲む人なら誰でもSober Curiousとなるべきだと間口を広くとっていることにある。
流されて飲酒を選択するのでなく、飲酒するにしても意識的に行い、時に節酒をして付き合い方を見直す、そんなことが提唱された一冊であるように思う。
Warrington自身はSober Curiousを下記のように定義している。
Sober Curiousとは、社会レベルでのお酒の見方や個人レベルでのお酒との付き合い方を含めた、お酒にまつわる全てのことを問い直す姿勢と同義である。
お酒のない生活を送ることが、(自身への利益や困難も含め)どのような意味を持つことになるかに興味を抱くことである。
Sober Curious発のムーブメントとは?
Sober Curiousは、書籍の枠を超えて新しいライフスタイルの姿として定着しつつある。
これには、著者のWarringtonがAlcohol-Freeイベント組織Club Sodaの創設者であることも大きく関係している。
ただのコンセプトとしてではなく、イベントなどを通じて行動/ライフスタイルとしてSober Curiousという言葉を根付かせてきた。
Club Sodaはポップアップでノンアルコールバーを行うなど、お酒がなくともソーシャルに繋がることのできる場を提供し、イギリスではミレニアム世代を中心に人気を集めている。
日本におけるSober Curiousの可能性は?
では、日本におけるSober Curiousの可能性とはどれほどのものであろうか?
『アルコール離れの着地点とノンアルコールの課題』においても触れたが、現在の日本のノンアルコール市場における問題点は、業界全体として機能性重視に偏った提案をしてきたせいで、ノンアルコールがネガティブオプションになってしまっていることにある。
その点において、ライフスタイルという視点からのSober Curiousという提案は日本でも十二分に可能性があるように思う。
日本では、既にSober Curious Japan が発足されている。今後のノンアルコールバーの登場やノンアルコール界隈に盛り上がりにあたり、産業全体としてこれまでの負のイメージの払拭と新しい価値観の創造ができていければ、ノンアルコール業界は今まで以上に面白い市場となるに違いない。
参考サイト
"The rise of the sober curious: having it all, without alcohol" The Guardian
"What Does It Mean to Be Sober Curious?" very well mind
"Why Are People Sober-Curious?" goop
"Sober Curious" Ruby Warrington
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