「ゼブラストライピング」って知ってる? 世界では定着しつつある、新しいお酒との付き合い方
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- 7 時間前
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「ゼブラストライピング(Zebra Striping)」。
聞いたことがある人は、まだ日本ではほとんどいないかもしれない。でも海外の飲料業界では、2025年にかけて急速に注目を集めているトレンドワードだ。
アルコール飲料とノンアルコール飲料を、1杯ずつ交互に飲む——ただそれだけのことなのだが、このシンプルな飲み方が、世界の「節制トレンド」を語る上で外せないキーワードになりつつある。
今回は、このゼブラストライピングとは何か、なぜ今これほど話題なのか、そして日本への示唆について整理してみる。

そもそもゼブラストライピングって何?
ゼブラストライピングとは、一度の飲み会や食事の席で、アルコール飲料とノンアルコール飲料を交互に飲む行動のことだ。
ビールを1杯飲んだら、次はノンアルビールかスパークリングウォーター。ワインを1杯飲んだら、次はノンアルカクテル。白と黒のシマ模様(ゼブラ柄)のように交互に繰り返すことから、この名前がついた。
「断酒」でも「完全にお酒を抜く」でもなく、1杯ごとのリズムで自分をコントロールする。この「どちらでもあり得る」感覚が、今の消費者の気分にちょうどはまっているようだ。
この言葉を世界的に広めたのは、世界最大の洋酒メーカーのひとつであるDiageoが2025年1月に発表したトレンドレポート「Distilled 2025」だ。1億6,000万件超のオンライン会話をAIで分析した同レポートが、ゼブラストライピングを主要トレンドの一つとして取り上げたことで一気に注目を集めた。
数字で見ると、どれくらい「定着」しているのか
特に浸透しているのはイギリスだ。市場調査会社KAM Insightのデータによると、2024年時点でイギリスの成人の28%がパブやバーでゼブラストライピングを実践しており、2025年の調査では34%にまで増加している。さらに18〜24歳の若者に限ると、78%がアルコールとノンアルコールを混在させた飲み方をしていると回答している。
アメリカでは、NIQ(NielsenIQ)のデータで外食・飲食店の来客者の47%がすでにゼブラストライピングを取り入れていると報告されている。
また、検索・消費者インテリジェンスプラットフォームのTastewiseによれば、関連の検索インタレストは前年比30%増で伸び続けている。
グローバルな視点では、Euromonitor Internationalの "World Market for Alcoholic Drinks 2025"レポートが、ゼブラストライピングを「年齢・属性を問わず広がりつつある飲み方のトレンド」として明示的に取り上げ、アルコール市場全体の成長鈍化(2024年のグローバル成長率は0.6%)の背景要因の一つとして指摘している。
なぜ今、ゼブラストライピングなのか
背景にあるのは、「節制の形が変わった」ということだと思う。
これまでの節制トレンドは、ドライジャニュアリーに代表されるように「一定期間、完全にお酒を断つ」という形が主流だった。しかしIWSRの調査(2025年秋)によると、1か月以上の断酒を実践する割合は減少傾向にある一方で、「飲む頻度と量を日常的に自分でコントロールする」という節制スタイルが広がっている。
ゼブラストライピングはその最たる形だ。「やめる」のではなく、「うまく付き合う」。ソーシャルシーンから切り離されることなく、でも飲みすぎない——そんな現実的なバランスを求める人が増えているということだろう。
Euromonitorの調査では、飲酒者の53%が飲酒量を積極的に減らそうとしていると回答しており(2020年の44%から増加)、その動機の1位は「健康でいたい」(46%)、2位は「長期的な健康リスクを避けたい」(42%)だ。お酒を楽しみながら健康も意識する、そのどちらかに振り切らない姿勢が、ゼブラストライピングという飲み方の人気を後押ししている。
ノンアルコール市場との関係
ゼブラストライピングが広がると、何が起きるか。
当然、ノンアルコール飲料の需要が伸びる。実際、NIQのデータによると、ノンアルコール飲料を購入している消費者の90%以上がアルコール飲料も同時に購入していることが確認されている——つまり、「アルコールかノンアルコールか」という二択ではなく、両方を使い分けるデュアル購買が当たり前になってきているということだ。
ノンアルコール市場の成長数字にもそれは表れている。2024年の数字で見ると、ノンアルコールスピリッツは前年比17%増、ノンアルコールRTDは14%増、ノンアルコール・低アルコールビールは11%増、ノンアルコールワインも7%増だ。
Euromonitorは2025〜2029年にかけてノンアルコール飲料市場が24%成長し、102億リットルを超えると予測している。
ゼブラストライピングが「節制のための断酒」ではなく「お酒を楽しみながらノンアルも取り入れる文化」として普及していることが、このノンアルコール市場の成長と直結している。
「どちらか」じゃなく「どちらも」
ゼブラストライピングが示しているのは、節制トレンドの進化だ。
断酒や禁酒という「全か無か」の選択から、一晩の中でアルコールとノンアルコールを使い分けるという「どちらも」の選択へ。この変化は、ノンアルコール飲料の品質向上と選択肢の拡大なしには起きなかった。
日本でこのトレンドが本格的に広がるためにも、「ノンアルコールも、場の雰囲気を壊さずに楽しめる飲み物だ」という認識がさらに広がっていくことが鍵になると感じている。
【参考資料】




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