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食料品減税で、ノンアルコールはどうなるか——2027年、売り場の価格差が動く

2026年8月5日、政府は臨時閣議で、飲食料品の消費税率を引き下げる基本方針を決定した。


2027年4月1日から2年間、現行の8%を1%とする内容だ。1989年の消費税導入以来、税率が下がるのは初めてとなる。


この減税には、明確な線引きがある。対象から外れるのは、外食と酒類だ。そしてこの線引きは、ノンアルコール飲料にとって、決して小さくない意味を持っている。

食料品減税で、ノンアルコールはどうなるか——2027年、売り場の価格差が動く
ノンアルコールは、どちら側に立つのか

結論から言えば、ノンアルコール飲料は減税の対象に入る見通しだ。


理由は、税制上の分類にある。軽減税率の対象から除かれる「酒類」とは、酒税法が定める酒類、すなわちアルコール分1度以上の飲料を指す。


ノンアルコール飲料はこの定義に当てはまらず、清涼飲料として扱われる。現行の軽減税率制度でも、ノンアルコールビールや甘酒は、ジュースなどと同じく8%が適用されてきた。


興味深いのは、アルコール分0.5%程度のいわゆる微アルコール飲料も、1度未満である以上は酒類に該当せず、同じ扱いになる点だ。


一方、アルコール分1〜3%程度の低アルコール飲料は酒類となり、標準税率が適用される。「1度」という線が、税制上の分かれ目になっている。


この扱いが今回の減税でも踏襲されるなら、2027年4月以降、ビールは据え置きの一方で、ノンアルコールビールは1%へと下がることになる。


同じ棚に並ぶ商品の間に、これまでにない税率差が生まれる。

半年前には、酒税改正が控えている

もう一つ見落とせないのは、この減税が、別の制度変更のすぐ後に来るという点だ。


2026年10月、酒税法の改正により、ビール系飲料の税率が350ml缶あたり54.25円に統一される。


ビールは減税、発泡酒と第三のビールは増税となり、長年存在した最大49円の税額差が消える。すでに大手4社は、主力の第三のビールをビールへと切り替える方針を打ち出している。


つまり、2026年10月に酒類の内部での価格構造が均され、その半年後の2027年4月に、今度はアルコールとノンアルコールの間に新たな税率差が生まれる。


一年足らずの間に、飲料売り場の価格の風景が二度動くことになる。

価格差は、何を生むか

ノンアルコール飲料については、これまでしばしば「アルコールが入っていないのに、価格があまり変わらない」という声が聞かれてきた。


その背景には、ノンアルコール飲料特有の製造事情がある。


香気成分を抽出したり、脱アルコール処理を施したり、味の骨格を組み立てたりする工程には、相応のコストがかかる。単純に「アルコールを使わない分だけ安い」という構造ではない。


だからこそ、税率差が生まれることの意味は小さくない。


製造コストの構造は変わらなくても、消費者が支払う最終的な価格には差が生じうる。


もっとも、価格は税率だけで決まるものではない。原材料費や物流費の動向、各社の価格戦略も影響する。減税がそのまま店頭価格に反映されるかどうかは、施行後の各社の判断次第だ。

事業者にとっての実務

飲食店にとっては、注意すべき点がある。


今回の減税は、あくまで小売やテイクアウトが対象で、店内飲食は10%のまま据え置かれる見通しだ。店内で提供するノンアルコール飲料の税率は変わらない。


影響が出るのは、小売、EC、テイクアウト、そして仕入れの局面だ。


ノンアルコール商材を扱う小売やECにとっては、価格表示の設計が変わる。飲食店にとっても、仕入れ価格の構造が変わる可能性がある。


なお、この基本方針はまだ法案成立前の段階にある。


政府は9月に税制改正大綱をまとめ、秋の臨時国会に関連法案を提出する見通しだ。


時期や税率、対象の細部は、国会審議を経て変わる可能性がある。実務対応は、法案の成立と国税庁の詳細な取り扱い公表を待って進めるのが安全だろう。

制度は、飲み物の選ばれ方を変えてきた

振り返れば、日本の飲料市場は、制度によって形を変えられてきた歴史を持つ。


麦芽比率を下げれば税が軽くなるという仕組みが、発泡酒を生んだ。その発泡酒が増税されると、今度は麦芽を使わない第三のビールが登場した。


税率という制度の隙間が、商品そのものを作り出してきたのだ。そして2026年10月、その隙間が埋められることで、第三のビールは役割を終えようとしている。


2027年4月の食料品減税もまた、飲料の選ばれ方に影響を及ぼす可能性がある。


酒類と非酒類の間に線が引かれ、その線の向こう側とこちら側で、価格の動き方が変わる。


ノンアルコール飲料は、これまで「酒類ではない」ことによって酒税の対象外に置かれてきたが、今回は「酒類ではない」ことによって減税の対象に入る。


もっとも、飲み物が選ばれる理由は価格だけではない。味、体験、その場にふさわしいかどうか。


制度が生む価格差は、あくまで背景の一つにすぎない。だが、その背景が動くとき、売り場の風景は静かに変わっていく。2027年春に何が起きるのか、注視しておく価値はある。


参考資料

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