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執筆者の写真alt-alc,ltd.

芸術家とアルコールの今昔





アルコールと芸術家の関係は根深い。


アルコール依存症に苦しんだ芸術家など挙げれば枚挙にいとまがないし、ピカソとアブサン、ヘミングウェイとフローズンダイキリなど、「この人と言えば!」といったアルコールもあるくらいだ。


しかし、近年そのような(アルコールと芸術家の蜜月というか)芸術家たるもの酩酊の中で新たなインスピレーションを、といったステレオタイプはずいぶん薄れてきたように思う。


作家の町田康さんが昨年『しらふで生きる 大酒飲みの決断』を出版したのは記憶に新しく、村上春樹さんなども早寝早起きの生活と毎朝のジョギングなど破滅的生活とは程遠い、健康的な生活を心がけている。


以前『アルコールフリーな生活をおくる世界的有名人たち』ということで、いかに今セレブのお酒離れが進んでいるかは紹介したが、芸術家とアルコールの新しい関係性について見ていきたい。


先述の町田康さんは、その著書で文学的酩酊について言及している。

アルコールを離れ、記憶の中にだけ存在し、実感体感が失われた酩酊を表現するという新しい試みだ。


また米国の人気女性歌手レディー・ガガさんは、先月出した新アルバム"Chromatica"の制作の間ずっとSobriety(しらふ/節酒/禁酒)について思案していたそうだ。


実際に、同アルバム内の"911"という自身の抗精神病薬を飲んでいた時の経験に基づいた楽曲を制作中には、完全にお酒を止めることも考えたという。



彼女にとって、アルコールを断つということは自身が抱える苦痛と正面向き合おうという気持ちの顕れだそうだ。


実際に禁酒をするというとこまでは至っていないが、今回のアルバム完成とともに長年吸ってきたタバコをやめることができたとのことだ。


Sobrietyやたばこといった、これまで自身が苦痛の逃げ道として用いてきたものについてとことん考えながら生まれた今回の楽曲は、今までにはない癒しの効果があったという。


 

お酒による酩酊が生み出すインスピレーションや芸術の形が存在することは、いまさら言及する必要はない。


しかし、意識的に飲まないという選択をすることで初めて得られるなにかも存在するのかもしれない。



参考サイト

"Lady Gaga says she “flirted with sobriety” while making ‘Chromatica’" NME

『町田康が語る、酒を断って見出した“文学的酩酊” 「日常として忘れていく酩酊感が読者に伝わったら面白い」』Yahoo News


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