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ノンアルコールから見るSDGs







昨今、テレビや広告などいたるところで目にするようになったSDGsについては、もはや改めて言及する必要もないかもしれない。


念のため、簡単に紹介させていただくと

SDGs(Sustainable Development Goals / 持続可能な開発目標)は、2015年の9月に国連サミットで採択された2016年から2030年までに達成することを掲げた目標である。


17の大目標(下記図)とそれぞれを達成に導く169の具体的なターゲットのことである。



日本でも様々な企業が、自社で取り組むべき目標を個別に掲げている。


今回はこのSDGsの文脈の中で、ノンアルコール産業が担うべき課題について考えてみる。


すべての人に健康と福祉を

達成目標3:すべての人に健康と福祉を

3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。


これがもっともわかりやすいところの一つかもしれない。


過度な飲酒を控えるためにも、高品質なノンアルコールの存在は代替財として必要不可欠なように思う。


またオックスフォード大学の研究では、低所得者ほどアルコールの摂取量は少ないものの、一度に大量のアルコールを摂取するビンジ飲酒が多いと指摘している。


空酔いのできる高品質なノンアルコールを生み出すことで、こうしたビンジ飲酒を減らすることができれば、ノンアルコールから健康をということも決して絵空事ではなくなるだろう。


*ビンジ飲酒:WHOの定義によれば、「月に一回以上、一度の機会で60 g以上の純アルコールの摂取すること」60 gの純アルコール=13%のワイン460 ml=40%のリキュール150 ml


働きがいも経済成長も

達成目標8:働きがいも経済成長も

8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。


レッドオーシャン化しているアルコール市場と比較して、ノンアルコール市場はまだまだブルーオーシャンである。新たな商品の開発や導入が、市場に与える価値は高いものと思われる。


また、ノンアルコールの製造法の一つである、脱アルコール技術はまだまだ発展の余地を十分に残しているようにも思われる。


技術的イノベーションについては、インペリアルカレッジオブロンドンのデヴィッド・ナット教授のアルコシンスもかかわってくるかもしれない。


教授は、アルコールの副作用を排し、気持ちの良い酩酊作用などアルコールのポジティブな側面のみを残したアルコシンスという全く新しい飲料を開発しており、先5年以内の実用化に向けて動いている。


フードテクノロジーなどが隆盛を迎えている昨今において、既存の枠組みにとらわれない、ノンアルコールの在り方が今後も出てくることは間違いないだろう。


人や国の不平等をなくそう

達成目標10:人や国の不平等をなくそう

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、全ての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。


高品質のノンアルコールを提供することで、飲酒可否が空間・料理などの満足度に差を生じさせないようにする。


また、人類がこれまで連綿と築き上げてきたアルコールにまつわる技術発展の成果を、お酒の味わいや香りをオマージュしたノンアルコールを生み出すことでお酒の飲めない人でも、求める人にはその端緒を享受できるようにしていく。


 

多様な側面を持つノンアルコールだが、時代の要請をうけてまだまだ発展の余地を残していることは疑いようがないだろう。


参考サイト

"Alcohol Consumption" Hannah Ritchie and Max Roser https://ourworldindata.org/alcohol-consumption#alcohol-consumption-vs-income "Could ‘alcosynth’ provide all the joy of booze – without the dangers?" The Guardian

『SDGs(持続可能な開発目標)17の目標&169ターゲット個別解説』イマココラボ

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