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しらふな睦月 Dry January

更新日:2019年11月1日







2013年からALCOHOL CHANGE UKという組織主導で、イギリスを中心に人気が広まってきているDry January。


毎年1月に禁酒をして、飲酒習慣を見直す期間を作ろうという取組み。


2013年には4000人ほどでしかなかった参加者が、2016年には14,000人、2017年には36,000人、2018年には100,000人、2019年には推定420万人と飛躍的に増加しております。


Dry Januaryの始まり

今日ではこんなに大きくなったDry Januaryですが、始まりは一人の女性のささやかな行動に起因しています。


 

物語は、2011年エミリー・ロビンソンが、2月に行われるハーフマラソンに参加者登録するところから始まります。


そもそも走ることがそんなに好きではなかったエミリーは、前月1月はお酒を断ち、日々のトレーニングに打ち込みやすいようにしました。


禁酒をすることで、体重は減少し、毎日快眠できるようになり、何事にもより精力的に取り組むことができるようになった彼女は、見事ハーフマラソンを完走します。


しかし、物語はここでは終わりませんでした。


一ヵ月もの間、禁酒をした彼女は周りから禁酒体験について様々な相談を受けるようになりました。翌年2012年にエミリーがALCOHOL CHANGEに入社すると、相談はますます増えていきます。


実に多様な悩みや相談を持ち掛けられるようになり、人々がどれほど禁酒に興味を持っているかを実感したエミリーとALCOHOL CHANGEは、ついに2013年からDry Januaryという形で飲酒習慣を見直すキャンペーンを始めるに至ったのです。


 

Dry Januaryの広がり

冒頭でも述べたように、2013年にわずか4000人でスタートしたDry Januaryは、7年目にあたり今年でおよそ1000倍の420万人という広がりを見せている。


それは、ネット上でも同じことで下記のGoogle Trendを見ていけば、Dry Januaryへの注目度がいかに高まってきているかは一目瞭然だろう。



飲食業界への影響

420万人もの参加者と聞いたら、飲食関係者は戦々恐々としてしまうかもしれない。

実際に、どの程度の影響があったのだろうか。


2019年の1月の売り上げを2018年同月と比べてみると、英国のパブやレストランの売り上げは1.8%の減少である。


内訳はパブ1.4%の減少に対してレストラン2.5%の減少である。

地域別で見ると、ロンドンが1.9%の落ち込みで、他地域が1.7%の落ち込み。


母数としてとっている市場規模は、総計£90億以上ということなので、十分に説得力がある。


意外に少ないと思われたのではないだろうか。

2018年の参加者10万人に対し、2019年の参加者(推定)420万人でこの数字である。


考えられる理由は、


  • 参加表明したが、続かなったか/できなかった

  • そもそも普段飲酒量の少ない人たちが主に参加している


といったところだろうか。


飲食業界の対応

しかし、飲食業界もただ手をこまねいているだけではもちろんない。


彼らの対応は大きく二つ、つまり、フォロワー戦略・カウンター戦略である。


ノンアルコールトレンドに乗って、ノンアルコール商材やモクテルの品ぞろえを強化し、非飲酒者にまで間口を広げるフォロワー戦略。


よりアルコールに力を注いで、コアな層へ訴求を図るカウンター戦略。

昨今人気が高まってきているクラフトジンになぞらえてGinuary(Gin + January)というキャンペーンに出ているところも存在する。


類似の禁酒キャンペーン

最後に、Dry Januaryに類似する禁酒キャンペーンを見ていく。


  • 1月:Dry January(英国)

  • 2月:Dry February(カナダ/ベルギー)

  • 7月:Dry July(オーストラリア/ニュージーランド)

  • 10月:Ocsober(オーストラリア)


上記は、Dry Monthの一例に過ぎない。小規模の取組みまで合わせたらおそらく、Dry Month Calendarが作れるだろう。



▶関連記事を読む

100年前の高貴な実験 https://bit.ly/2XoowBG


参考サイト

"The Dry January Story" ALCOHOL CHANGE

"Dry January might be good for you but it's hell on the restaurant business" salon

"Dry January: London restaurants' new alcohol-free offerings" The Telegraph

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