KAVA(カヴァ)という飲み物をご存知だろうか?
カヴァとはポリネシアの言葉で「苦み」を意味し、太平洋上ポリネシアを中心とした島々に生育するコショウ科の灌木である。ミクロネシア、フィジー、バヌアツ、ハワイなどに分布する。
そして、このカヴァ木の根をすり潰し粉状にしたものを水に溶かしたノンアルコールの飲料もまたKAVA(カヴァ)の名で呼ばれる(以下、飲料のものをカヴァ、植物のものをKAVAと表記)。
カヴァは、ポリネシアの方では非常に歴史ある飲料として、チャールズ英皇太子やオランド元仏大統領来訪の際もふるまわれている。
KAVAの学術名は"Piper methysticum"、日本語訳すると「酔える胡椒」。その名の通り、アルコールを含まないながらも、お酒に酔ったような酩酊感が得られるとして、現在アメリカで密かに注目を集めている。
カヴァバ― in the U.S.
カヴァはアメリカの数都市で流行の兆しを見せており、既に多くのカヴァ専門バーが開かれている。
といっても、カヴァ自体が美味ということではない。カヴァ本来の味わいは、根菜由来らしく土っぽく、苦みのある味わいで、機能を求めて飲みこそすれ、味わいを求めて飲むようなものではない。
カヴァの持つアルコール様の酩酊効果、鎮静作用、抗うつ効果などを有しており、何かと混ぜ合わせながら使われているということである。
ブルックリンにオープンしたカヴァバー、"House of Kava"ではカヴァを使った様々なカクテルが提供されており、ストレスからの解放やリラックスを求めて賑わっているという。
アルコールのように前後不覚になることなく、心地よい酩酊感やリラックス効果が得られるとして、アルコールやカフェインの代わりとして楽しむ人も増えてきているようだ。
カヴァの懸念と現状
アルコール様のメリットも持っているカヴァではあるが、肝機能への負担も報告されている。
現状では、欧州やカナダ、日本ではその使用・取扱いは禁じられている。その一方でWHOやFAO (Food and Agriculture Organization)といった組織は、過度な摂取を避ければ健康被害の可能性は低いとしている。
ゆえに、わたしたちがカヴァを試そうとなると、現地に行くしかない。ポリネシアに縁がなさそうという人でもハワイに行けばAWA BARという名前でカヴァを出しているお店を見つけることができる。
アメリカ本土でも、上記に挙げたブルックリンをはじめカリフォルニア、コロラドなど飲める場所は増えてきているようだ。
CBDなどと違って、近年中に日本で見かけるという種類のものではなさそうであるが、アルコールに変わる機能性を求めて広がるCBDやカヴァと、アルコール様の味わいを求めて広がるオルタナティブ飲料。今後、どちらが普及していくかで、わたしたちが本質的にアルコールに求めている/求めていたものがなんであったかわかるかもしれない。
参考サイト
"KAVA" WebMD
"What's Behind The Intoxicating Rise Of Kava Bars In The U.S." Forbes
"Kava Bars In The US — Why Is Kava Taking America By Storm?" BOLD BUSINESS
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