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執筆者の写真alt-alc,ltd.

Gordon Ramseyのノンアルコールリスト

更新日:2022年9月15日





イギリス料理界の雄、ゴードンラムゼイシェフを擁する、Restaurant Gordon Ramsey のご協力のもと、ドリンクリストをいただくことができました。


ノンアルコールドリンクリスト概観

有望なノンアルコールメーカーが続々と出てきており、モクテル文化も進んだ英国のノンアルコールリストとはどんなものなのだろうか。

上図が、Gordon Ramseyのノンアルコールページ。ワインリストの最終ページ(81ページ目)に記載されてる。


使われているワードは、禁酒や節制を意味するTemperanceという言葉。日本ではあまりなじみはないが、これ自体は海外のノンアルコールメーカーをはじめ、よく使われているワードである。


ノンアルコールという言葉をあえて使わないことで、おしゃれさを演出しつつ、飲めない人にも注文しやすい環境を作っているのかもしれない。


Temperanceの語義説明の後に、1825年に設立されたTemperance Societiesの概略があり、つづいて禁酒運動について簡単に触れている。


最後に、「全てののドリンクには、Mr. Fitzpatrick'sのコーディアル、あるいはFever Treeのミクサーが使われています」、との記載。


では、ドリンクに目を向ける。

用意されているのは6種類のカクテル。


 

レモン、キュウリ、ライム&ミント トニック

すっきり爽やかなキューカンバーミント

ブラッドトニック&トニック

ローズヒップ、イラクサを使った甘辛いネグローニ仕立て。

ルバーブ、ローズヒップ、レモン、ジンジャーパンチ&エール

あまやかで香り高い、辛口の余韻を伴ったスパイス感

サワーチェリー、赤ブドウ、ハイビスカス、ライム&ソーダ

甘く、ライムを絞ったような清涼感のある後味

エルダーフラワー、グラニースミス&ライム&トニック

華やかで瑞々しい、さっぱりとした後味にライムの余韻

クランベリー、ザクロ、オルレアンビネガー&ソーダ

酸味と甘み、清涼感と瑞々しさ

 

メニュー選定の指標

Gordon RamseyのヘッドソムリエJames Lloyd氏にお話しを伺ったところ、ノンアルコールのメニュー選定の際に、以下のインデックスを意識しているということだった。

  • 爽やかさ :柑橘、炭酸、酸味

  • ドライ :主原料はお茶や野菜

  • 甘み :コーディアル、果物、砂糖添加

  • 苦み :全体のバランスをとるために甘み用いる

  • セイボリー

  • スパイス感 :アロマティック、ハーブスパイス

  • 香草 :天然ハーブやハーブオイル

  • 冷たさ/温かさ :紅茶 / パンチ *パンチは元来インド由来の温かい飲み物

*温かさ/冷たさは、温度感とは別にワインのアロマホイールで言及される、PUNGENT、HOT/COOLの分類(アルコール度数の高いワインは温かみを感じやすい等)も考えられるが、備考として書かれている紅茶やパンチという内容からここでは温度感についての言及

 

例えば、上記の指標は、それぞれを最も感じとりやすい要素を軸に考えると、以下のように分類できるかもしれない


  • 温度感:温かさ、冷たさ

  • 香り:スパイス感、香草

  • アタック:爽やかさ

  • 五味:甘味、苦味、セイボリー(旨味) 

  • 余韻:ドライ


これを踏まえて、上記のメニューを分析してみる。

*上から順に番号振っています


  1. 爽やかさ・ドライ

  2. 苦味・香草

  3. スパイス感・セイボリー

  4. 爽やかさ・甘み

  5. 爽やかさ・香草

  6. 爽やかさ・甘み


アタック、五味、余韻は、香りと対比すると味わいに強く影響する要素であるといえる。


それぞれのカクテルを要素分解すると上記の指標をさらに、香り要素、味わい要素(アタック/五味/余韻)に分け、それぞれの要素の掛け算として、カクテルを決めているのではと推測できる。


果実系要素の欠如

もう一点、面白い箇所として、香りに該当とするところが、スパイス感・香草のみで通常真っ先に思いつきそうな果実系の指標がないということである。


実際、最初に全てのカクテルをワインアロマホイールをもとに要素分解して、Fruity/Floralのいずれかの要素が含まれていたため(特にFruityの要素はほぼすべてのカクテルに当てはまる)、これについて尋ねてみたところ以下のような返答をいただいた。


「ノンアルコールの世界の選択肢は、例外こそあれ、Fruity/Floralの要素に依っているところがあり、そのほかの選択肢というのがそう多くない。」


つまり、意識せずとも果実系ニュアンスは存在し表現されるため、スパイス感や香草といったボタニカル要素を意識的に表現しようとしているのではないかと思われる。



最後に、メニューを見て、「こんな複雑なことは、オペレーション的にうちでは到底できない」と思われる方も多いかもしれない。実際、Restaurant Gordon Ramseyは多くのスタッフを抱えており、だからこそ可能なラインナップだと思う。


 

もし既存の商材を使ったレシピやノンアルコールカクテルについてご検討の方がいれば、

お気軽に info@alt-alc.com までご相談ください。


参照サイト

Restaurant Gordon Ramsey

「パンチ – 香り高く刺激的な飲み物をホットで」 ミーレ・ジャパン株式会社

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