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海外のアルコール市場動向






前回、『世界のノンアルコール市場動向』にて、International Wine and Spirits Reportをもとに、ノンアルコール業界が今後どのように展開していくかを見てきた。


今回は、World Health Organization(WHO)の資料に基づいて、世界のアルコール市場動向を観察していきたい。


世界の飲酒法定年齢について

WHOで扱われているデータは基本的に15歳以上の人を対象にしている。


これは、「お酒は20歳になってから」の日本では意外かもしれないが、飲酒解禁年齢というのは、世界的にみれば圧倒的に18歳からが多いものの、実は国により様々な対応がとられている、という背景からである。


そもそも酒類の購入のみに年齢規制を設けており、そもそも飲酒についての年齢規制が存在していなかったりと様々だ。


飲食店での酒類購入が認められる最低年齢とその国数

もっとも、規制が設けられていない国の大半は発展途上国である。


一方、欧州の大半は18歳から、アメリカは州にもよるが18歳~21歳であり、今後出てくるデータ(飲酒人口率等)を見る際には、若干数字が低く出ていると思ってよい。


飲酒人口率と飲酒量

前置きが長くなったが、まずは地域ごとの飲酒人口率の変遷から見ていく。


2000年~2016年 非飲酒者、断酒者、常飲酒者の割合変遷

*アフリカ地域(AFR)、アメリカ地域(AMR)、東地中海地域(EMR)、 欧州地域(EURO)、 東南アジア地域(SEAR)、西太平洋地域(WPR)

**日本はWPRに区分けされている

***非飲酒者:生涯アルコールを摂取したことのない人。断酒者:かつて飲酒をしていたが断酒しここ1年以上飲酒をしていない人。常飲酒者:ここ1年の間に飲酒をしている人。


非飲酒者、断酒者はほとんどすべての地域で増加傾向にある。常飲酒者は、西太平洋地域を除いて減少傾向にある。


世界的に、飲酒人口率は10%ほどの減少傾向であるが、世界の人口増率は20%弱あるため、飲酒総人口は伸びていると推測できる。


次は、経年での消費量の変遷を確認していく。


2000年~2016年 一人あたり純アルコール消費量変遷

欧州地域は、ここ10年で15%強消費量が減じており、アメリカ地域は横ばい。


日本を含む西太平洋地域や東南アジア地域の伸び率が大きいのは、中国および中華系経済の好調が要因だと推測できる。


世界全体としてみると、ここ10年15年スパンで見ると飲酒量は増加しているが、直近5年での増減はない。先進国の飲酒量減少が加速し、新興国の飲酒量増加を上回った形と見える。


また、昨今の中華市場でのワイン人気を考慮する(実際、中国のワイン消費量はここ10年で約5倍となっている)と、お酒を飲む頻度に大きな変化はないものの、蒸留酒から醸造酒へと変化してきたことでアルコール度数が低下し、これが総純アルコール消費量の増加を和らげた、と推測することもできる。


何にせよ、日本にいるとアルコール離れ、ノンアルコール飲料の人気とよく耳にするが、世界的にアルコール消費量はまだ伸びている。


ビンジ飲酒の傾向変遷

「ビンジ飲酒」と聞いて、ご存知の方はまだまだ多くないのではなかろうか。


ビンジ飲酒とは、短時間で多量の飲酒をすることをいう。要は、飲みすぎである。

BINGE:「度を過ぎた楽しみ」からきている。


WHOでは、ビンジ飲酒をHED(Heavy Episodic Drinking)とし、


「月に一回以上、一度の機会で60 g以上の純アルコールの摂取すること」

*60 gの純アルコール=13%のワイン460 ml=40%のリキュール150 ml


と定義づけている。


2000年~2016年 ビンジ飲酒率の地域別変遷(総人口、飲酒人口)

意外にも、下げ幅に地域差こそあれ、全地域でビンジ飲酒の割合は減少していることがわかる。


特に、アメリカ地域および欧州地域での下げ幅は非常に大きく、アルコール消費量の伸びていた、東南アジア地域、西太平洋地域でもわずかながら下がっている。


アメリカ、欧州地域での変化は、これまでの記事でも見てきたように、健康志向の高まり、ミレニアム世代のアルコール離れ、グローバル化によるアルコールの社会的認識の変容などが挙げられる。


東南アジア、西太平洋地域における、純アルコール消費量が上がって、ビンジ飲酒が減少しているという変化は、一度に飲むアルコールの量は減少した、一方で飲酒の頻度が増した or 飲酒の人口が増加したということである。


アルコール市場の未来予想図

2016年~2025年 一人あたり純アルコール消費量予測

2016年~2025年 常飲酒者割合予測

最後に、今後の世界のアルコール消費量予測と日常的に飲酒する人口割合をみておきたい。


レポートによると、純アルコール消費量は先進国では減少を見込んでいるものの、新興国/発展途上国では増加を予想しており、世界全体としては増加傾向が続くとしている。


一方、日ごろから飲酒をする人口割合は、全地域において減少を見込んでいる。


おそらく、全体としては人口増加が純アルコール消費量の増加、常飲酒者割合の減少双方に影響を及ぼしている。


個々先進国や経済発展地域においては、嗜好性の変化、健康志向の台頭によって、人口増加のない地域でも常飲飲酒割合も減少していると推測できる。



▶関連記事を読む

世界のノンアルコール市場動向 https://bit.ly/32c8WYo

データでたどる国内アルコール離れの実態 https://bit.ly/2xPyyMG

国内のアルコール離れを説明する四つの要因 https://bit.ly/2XQQTn2

アルコール離れの着地点とノンアルコールの課題 https://bit.ly/2xJPBjp


参照サイト

"Global status report on alcohol and health 2018" World Health Organization

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