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有名人のワインと...

更新日:2020年12月18日





先月10月15日にハリウッドスター、ブラットピットとアンジェリーナジョリーが手掛けるミラヴァルがロゼシャンパンを世界同時リリースしました。


今日はそんなセレブなワインと話題のアニメ『鬼滅の刃』について今日は考えてみようと思います。


鬼滅の刃はなぜヒットしたのか?

まずは、空前の大ヒットを続ける『鬼滅の刃』の大ヒット要因について、考えていく。


*これを読んでいるような情報にさとい方で、『鬼滅の刃』とはなんぞやという方は少ないと思われるので、『鬼滅の刃』についての説明は割愛させていただきます。


すでに各社さんがヒットの理由については、様々な意見を出されていますが、単なるアニメ化効果や作画、良コンテンツといったことでは説明できないように思います。


現在、挙げられているヒット要因の一部、


  • アニメ化効果:静止画の漫画から動画のアニメになることで新たな魅力を引き出す

  • 全年齢型コンテンツ:老若男女を問わないコンテンツ満足度

  • のめり込みやすい設定:シンプルな対立関係、ヒエラルキー構造

  • 偶然生まれた「枯渇感」:単行本完売によるバンドワゴン効果

    • アニメスタジオとの相性:CGを含め豊かな表現を得意とするufotableと作品の相性

  • 日本古来の物語との親和性:鬼退治というシンプルなストーリーと心理描写

*詳細については、下部参考サイトを当たってみてください


それぞれの要因はまさしく正しいと思うが、今回の爆発的なヒットを考えると必要条件という感じで、これだけで十分とは言い難いように思う。


日頃から多くのアニメを視聴しているアルト・アルコ編集部としても、『鬼滅の刃』の作画描写や親しみのあるストーリーラインはとても楽しめたが、これで全部を説明できるとは思えない。


『鬼滅の刃』のヒットにおける、興味深い点は全年齢層への波及効果だ。


その中でも特に、普段このようなコンテンツに触れないであろう幼児世代/親世代での人気が面白いように思う。


今回は、後者の親世代における人気について考えてみたい。


実際、SNSを見ていると、アニメなんて見るんだと思うような年齢の方々も、アニメを見たり劇場に足を運んだりしている。


そのような年齢の方々が、本当に普段からアニメを見ているかというと、NOの答えの方が多いはずだ。


それでも観た/観れたのは


  • 動画配信サービスが充実していた

  • コロナ禍で娯楽が不足

  • 在宅により家族とのコミュニケーションが必要


そして、ここが重要なポイントだが、今の親世代が決してアニメにおける新規顧客でなく、かつてはアニメを観て育ったいわば休眠顧客であったことが、今回の爆発的なヒットを呼び込んだのではないかと思う。


自分たちが子供の頃に観ていたアニメとは格段に上がっている作画やCG技術、そして初見でもわかりやすく入れるストーリー性、こうして一部の大人たちは、久しぶりに単行本に手を伸ばしたり、緊急事態宣言が明けに劇場版が公開されると子供と連れ立って劇場に向かったのではなかろうか?


つまり、『鬼滅の刃』の親世代への人気の説明として、下記のような推測ができる。


「コロナという外部要因が、子供世代と共有できる娯楽コンテンツへの需要を促し、充実した動画配信サービスがそれら需要の受け皿として機能した。休眠顧客である親世代は、コンテンツとの接触が減っていたことで、逆にコンテンツの質の向上を知覚しやすく、単行本や映画など独自コンテンツへの消費行動を促した。」



ワイン業界への論の展開

こうしてみると休眠顧客にいかに興味を持ってもらえるように発信を行い、質の向上を知らしめれるかが、『鬼滅の刃』のヒットから得られる教訓のように思う。


日本のワイン市場は、一人あたり年間3ℓ程度の市場感なので、そういう意味では休眠顧客だらけという見方もできる。*年間3ℓは750mlボトル換算4本程度。


休眠顧客は当然そのカテゴリーへの熱が低く、カテゴリー内の情報への感度が低い。

そのため、「アンリ・ジャイエの弟子~」、「自然派ワインのパイオニア~」のようなそのカテゴリー内だけで完結している情報が響きずらい。


なので、休眠顧客の興味を引き付けるには、カテゴリー内のコンテンツとカテゴリー外のコンテンツの結び付けが重要になる。

*この点、『鬼滅の刃』の場合は、コロナ禍という外部要因が休眠顧客を掘り起こす誘因として作用したわけだが。


その一例が、前述のミラヴァルのような有名人の造り出すワインである。


普段ワインを飲まない人でも、映画、ハリウッドなどの切り口からの消費行動を期待できる。


しかし、仮に消費行動に移してもらったしても『鬼滅の刃』の例と比較すると、少なくとも二つの弱点を持っている。


  1. コミュニケーションツールとして機能しうるが、あくまでサブツールであること

  2. 質の向上を知覚することが困難である場合が多いこと


一つ目は、仮に社会人二人組でそのような有名人のワインを飲むようなシーンを想像してもらいたい。


彼/彼女らは、おそらくワインを飲むことを主目的として集まっているわけではない(ワイン休眠顧客はそもそもワインへの熱が低いので)。


彼らには、仕事であったり、友人関係であったりといった別軸のメインとなる話題(コミュニケーションツール)を既に有しており、そのような空間でワインはサブツールでしかない。


『鬼滅の刃』の場合は、家族で共有する娯楽を求めて視聴するため、視聴後に話題される可能性が高く、波及効果は高くなりうる。


二つ目は、ワインのような嗜好品は普段から飲んでいることで品質の評価がよりやりやすくなるという特性があり(消費者にもある程度の教育が求められる)、視覚的に理解しやすいアニメなどと異なり、休眠期間が長い顧客ほど品質の評価がしづらい可能性が十分に考えられる。


こうして考えてみると、『鬼滅の刃』の成功事例をワイン業界にスライドして展開していくことはなかなか骨が折れそうであるが、「休眠顧客」という視点からマーケティング手法などを見直すことには一定の意義があるのかもしれない。


ワイン市場における、休眠顧客の特性を把握し、彼らに魅力的にうつる訴求方法を今後考えていければと思う。


参考サイト

『鬼滅の刃が「日本中で愛されまくる」4つの理由』東洋経済オンライン

『『鬼滅の刃』大ヒットの理由は原作とスタジオの相性にあり? TVシリーズと劇場版の表現から探る』REAL SOUND

『『鬼滅の刃』が日本人の心を揺さぶり、歴史的ヒットを続ける隠された理由』DIAMOND ONLINE


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