日本では、まだお目にかかることは少ないが、海外では着実と増えつつある、クラフトノンアルコールビール。
クラフトビールだけでなく、クラフトノンアルコールビールのメッカとなりつつあるアメリカは2018年‐2019年の1年間におけるノンアルコールビールの成長は、金額ベースで23%、消費量ベースで13%と堅調に伸びている。
また世界最大のビールの祭典/コンペティションともいわれるGreat American Beer Festivalにおいては、ノンアルコールビールの需要増加を受けて、ノンアルコールビール部門を新設した。
クラフトノンアルコールビールの製法の現場
ノンアルコールビールの造り方については、『ノンアルコールビールの製造方法』でも見てきたが、実際にクラフトノンアルコールビール製造の現場でどのような手法がとられているのだろうか?
現場では、大きく三種類の手法が取られている。
発酵の途中停止
脱アルコール手法
オルタナティブ的手法
1.発酵の途中停止
通常よりも低温で発酵させることで、発酵速度・アルコール生成を著しく低下させることができる。
出来上がった実際のノンアルコールビールは残糖が多いため、通常のものよりも甘く、まろやかテイストになりやすい。
フレーバードノンアルコールビールなどを造っているメーカーの間で採用されることの多い手法ではあるが、全体から見ると少数派である印象。
2.脱アルコール手法
4~6%の通常のビールを生成したのち、いくつかの脱アルコール方法を用いて、0.5%未満までアルコール濃度を下げる。
脱アルコールの難しさは主に二つある。
脱アルコールのタイミングで香気/呈味成分が抜け落ちてします
アルコールを抜くことで、全体のバランスが崩れてしまう
このため、この手法を採用しているメーカーは、それぞれ独自の手法を取り入れている場合も多い。
ノンアルコールビールを造る方法としては、最も古く大手メーカーも含め、広く採用されている方法。
3.オルタナティブ的手法
麦汁をはじめモルトなどを用いて造られる手法。
先の二つの手法と比較すると、ベースが異なるためミクロ視点ではもっともビールと離れたものとなりやすい。その一方で、アルコール度数を完全に0.00%に抑えることができるなどのメリットもある。
欧米のスタートアップメーカーでの採用が増えているほか、自由度が高いため、上記二つの方法と組み合わせながら今後のイノベーションの可能性を秘めているかもしれない。
現状は、それぞれのメーカーが各々の手法でしのぎを削っているクラフトノンアルコールビール市場。製造におけるメインストリームはどうなるのだろうか?
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参考サイト
"Non-alcoholic beer is having a moment" yahoo finance
"A new generation of non-alcoholic craft beer makers is bringing fresh flavors to the party" wunc91.5
早速ありがとうございます。味そのものというより醸造所の大小によるところが大きいということでしょうか?ノンアルコールのクラフトビールの製造競争が起こるような変化があると嬉しいのですが。。
また、nolkyでノンアルコールクラフトビールが選定されているのかどうかが気になります。
mune さま メッセージありがとうございます。 逆浸透膜法自体は、脱アルコールの中では比較的コストは抑えられる手法であると聞いております。何がベストかは現状で判断は難しいですが、脱アルコールの手法では差別化が難しくスケールメリットを持っている企業に優位性があるのではないかと思っております。ご参考いただけますと幸いです。
いつも参考にさせていただいています。私もノンアルのクラフトビールに可能性を感じてまして、日本発の美味しいノンアル(1%未満)クラフトビールを作れないかと調査しているところでした。
最もアルコール入りのビールに近いノンアルビールを作るには、逆浸透法のような脱アルコール技術を採用するのがベストなのではないかと思っています。醸造所側の観点だと脱アルコール設備を導入しない理由としては、(技術的な懸念以外では)やはり脱アルコール設備が高価だからでしょうか?