コロナによってレストランは休業し、人と人との接触は極力自粛を求められ、オンラインショップへの需要は増加した。
アルコール世界における、営業手法は?販売方法は?市場規模は?それぞれどのように変化していくのだろうか?
アルコールの市場
以前『【ウィズコロナ時代】一時的な変化かパラダイムシフトか』でも紹介したが、アルコール販売の主戦場は今やレストランではなく、小売店なかでもオンラインショップに移っている。
とはいえ、コロナ以前でのアルコールの市場規模に戻るにはまだまだ時間がかかるというのが多勢の見解である。
ジン
ここ数年のクラフトジンの世界的な活況は、酒販/飲料業界に身をおく人であればきっと知っているに違いない。
IWSRによると、スピリッツ産業の中でもジンとウィスキー市場が最も早くコロナ以前の状況に戻るのではないかと推測している。
しかし、市場規模が元に戻ったからっと言って、全てが同じということにはならなそうだ。
年成長率10%ともいわれた昨今のジン市場では、多くの新興メーカーが勃興したが、コロナによる世界的な不況はこれまで様々な新興ブランドを試してきた消費者を保守的にし、新たなブランドへの挑戦は少なくなると予測されている。
人々は、自分の好みのブランドによりロイヤリティを発揮することになるだろう。
ビール
アルコール産業の中でも、最も早くコロナ以前のレベルに戻るのがビールではないかと言われている。
昨年のビール世界市場は、生産量ベースで0.3%上昇、金額ベースで2.2%の上昇であった。
しかし、これはノンアルコールビールや低アルコールビールの伸長によるものが大きく、今後ビール会社各社が成長産業であるロー/ノンアルコールにより一層注力することで、コロナ禍の下げ幅をカバーできるのではないかと言われている。
ちなみに、短期ベースではローアルコールビールの小売売上は対前年比44%も伸びており、また2024年までの年平均成長率は8.1%ともいわれている。
ワイン
ワイン産業の先行きは幾分暗いようだ。
そもそもアメリカでは2019年の時点で、1994年以来初めて消費量が減少している。
唯一の希望は、そんな中でも昨年消費量ベースで1.4%、金額ベースで3.6%の上昇を見せたスパークリングである。
もっとも日本では、高額シャンパンの主戦場であるナイト市場が今回のコロナ禍でやり玉にあがっているため、他国と比べるとコロナ以前に戻すにはやや時間がかかるかもしれない。
アルコールの営業
ニューノーマルに対応するのは、消費の場としてのアルコール市場
特に中小企業における、お酒の営業は実際に試飲サンプルを持参しての対面営業がほとんどである。
第二波・第三波が予想される今後において、旧態依然を良しとしてきたアルコール産業も、これまでの通りの対面営業ではないオルタナティブな方法を模索していかなくてはいけなくなるだろう。
考えられる変化としては、
既存ブランドへの注力
インサイドセールスの強化
の二つでないかと思う。
既存ブランドへの注力
ジン市場の変化でも見たが、今後消費者は新商品に対して、これまで以上に保守的になっていくことが予想される。
恒常的に新たなブランド開拓して、既存顧客にプロモーションしていくというよりも、自社ブランドをしっかり育てていく施策が必要となってくる。
しかし、ワインなどの何千何万という商品が割拠する市場の中で、自社製品の認知を育てていくというのは並大抵のことではない。そのため、中小インポーターはこれまで随時新ブランドを輸入して、顧客との持続的なコミュニケーションツールとして活用してきたという側面もあるはずである。
今後は、既に認知が確立されているブランドをモデルケースとして、自社ブランド育成に励む方が賢い選択といえるかもしれない。
インサイドセールスの強化
営業が足を使って、対面で顧客と話してという従来型の営業手法が今後いつまで続くかわからない。
コロナが終息しない状況下では、レストランやホテルなどもできるだけ外部との接触を控えて感染リスクを下げたいという気持ちもあるはずである。
オンラインツールを活用しながらの営業手法を確立できるかどうかが、今後の成長のカギになるかもしれない。
リードマーケティングや業界向けセミナーなどを上手に活用して必要がこれまで以上に高まってきていることは間違いないであろう。
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『【ウィズコロナ時代】オンライン上のアルコール』 https://bit.ly/3h0paeN
『【ウィズコロナ時代】アルコールはエッセンシャル?』 https://bit.ly/2YcqPFh
『【ウィズコロナ時代】一時的な変化かパラダイムシフトか』 https://bit.ly/3cEbC5f
『【ウィズコロナ時代】アルコールディスタンスを考える』 https://bit.ly/3h0z9k6
参照サイト
"ALCOHOL SALES COULD TAKE FOUR YEARS TO RETURN TO NORMAL" the drink business
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