コロナウィルスのパンデミックを受け、アルコール業界も多くの変化が強いられている。
今回起きた変化は、今後いつまで続いていくことになるのか?
オフトレード
まずはオフトレード(小売業界)から見ていく。
多くのメディアは今後、ECの影響力がより大きくなっていくと予想している。
これは、コロナウィルス終息後についても然りである。その理由として、以下のことが挙げられている。
消費者がアルコールのオンライン購入に慣れた
多くの小売業者/メーカーが今回を機にオンライン販売に乗り出した
当面は積極投資が見込まれる
消費者がアルコールのオンライン購入に慣れた
Rebobankグループの出している調査によると、2018年時点で65%のアメリカ消費者が、お酒をオンライン上で購入できることを知らなかったと発表している。より最近では、ZX Venturesによる調査でも、同様の結果が出ている。
高齢社会の日本について考えてみても、同様の結果になっても驚くべきことではないかもしれない。
しかし、今回のコロナ禍を通じてアメリカの大手アルコールオンラインサイトは通常15%ほどの新規顧客が3倍近くの41%まで増加していることなどからも、アルコールをオンラインで購入することを初めて経験する/した人が増えていることは間違いない。
アルコールのオンライン販売を知らなかった人、知っていたけど利用したことなかった人などがオンラインに流入してくることで、より一般化するのは必然である。
多くの小売業者/メーカーが今回を機にオンライン販売に乗り出した
アメリカのクラフトビールメーカーがエンドユーザーへ直販するためのプラットフォームを築いているTapRmが、この傾向を端的に表している。
現在、同社はクラフトビールメーカーからの問い合わせが通常時の10~12倍に増加しており、これまで自社のタップルームや業務用販売を生業としてきたメーカーのオンライン販売参入が相次いで起こっている。
同様の状況は日本でも考えられる。BASEやSTORESなど手軽にネットショップを構築できるサービスを提供できる会社の株価は、ここ数週間で急激に伸びており、いかに多くの需要が集まっているかを見ることができる。
当面は積極投資が見込まれる
最長2年間は続くともいわれる自粛ムードの中で、また実店舗での営業ができない中で、資本の多くはECに向かっている。
サイトの構築、ウェブ広告費、コンテンツ作成費などにお金と時間と労力が向けられており、一度動き出せば、コロナとは関係なく今後も稼働していくものと考えられる。
以上の理由から、オフトレードにおいては、ECの存在感がより強まってくると考えられる。
レストランなどに行けない中でレストランで頼んでいたものと同価格帯のワインを小売りで購入する人が出てきている中、ワインなどに対する価格相場も徐々に変化していき、小売り業界も大きな変化を余儀なくされるであろう。
オントレード
8割~9割減とも言われるオントレード(飲食業界)は、まさにダーウィンの言う適応できるものだけが生き残れる世界になってきている。
アメリカでは持ち帰りの向けのメールオーダーが非常に伸びているという。
オントレードは、ウィズコロナ時代とアフターコロナ時代でどのような変化が考えられるであろうか?
テイクアウトの常態化
O2O施策の増加
BYOの増加
テイクアウトの常態化
コロナ禍を通じてテイクアウトに注力している会社は多いが、有名店の料理が手頃に手軽に食べれるとあって、人気をを集めている。
ローリーズはわずか三日間で牛肉200キロ分のテイクアウトが入るなど、今回を通じてに新たな商機を見出した会社も少なくないはずだ。
そういったお店は、コロナにかかわらず継続的にテイクアウトをやっていくことが考えられる。
オフィス街のランチ需要や花見や夏のアウトドア需要などを考えると、新たに店舗を増やすよりも、テイクアウトの強化や自社製品の宅配サービスなどに注力してくる業務店も増えてくるに違いない。
O2O施策の増加
ウェブを通じての宅配やテイクアウトの増加に合わせて、より一層Online to Offline(O2O)が活発になるのは想像に難くない。
ネットショップと実店舗を結び付けるクーポンの発行や、テイクアウトで人気の商品を実店舗でよりブラッシュアップさせて販促に用いたり、と様々な施策が考えられる。
BYOの増加
飲料の持ち込み(Bring Your Own / BYO)が増えてくることも十分に考えられる。
テイクアウトで美味しいご飯を買ってきて、飲み物は別途オンラインや小売店で購入。そして、自宅でZoomなどを繋ぎながら気軽に楽しむというのが現在の消費行動であるとすれば、先にも述べたように飲料に対する価格相場が今後変わることは十分に予想される。
となってくると、持ち込みを許可して、レストランでは美味しい料理と素敵な空間を提供すること、あるいは小売り店では購入できない特別な飲料を提案することが増えてくるのではないだろうか?
様々な可能性が考えられるのが今の状況であるが、ビフォーコロナとアフターコロナが何も変わらないということはまず考えにくい。
変わっていくことは大前提として、どのような絵を描くか、各々考え行動していくしか道はないだろう。
参考サイト
"Will Covid-19 Change Online Wine Forever?" Wine-searcher
"How The COVID-19 Pandemic Is Upending The Alcoholic Beverage Industry" Forbes
"Retail wine sales surge as shop owners adjust to online selling" The Washington Post
『【ロウリーズ・ザ・プライムリブ】テイクアウト3日間で牛肉200キロ使用!』PR TIMES
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